「自分の鶴嘴(つるはし)で掘り当てる所まで進んで行かなくっては行けない」・・・夏目漱石「私の個人主義」
<もがいて踏ん張って人生の鉱脈を掘り続けましょう>
夏目漱石と言えば、「吾輩は猫である」「坊っちゃん」など誰もが知る名作を残した小説家です。
しかし、その名作が生まれるまで、漱石は英文学者・夏目金之助として人生の真の目標が見つけ
られないまま陰鬱な日々を送っていたことはあまり知られていません。
漱石は英国で留学時代、とことん自分の内面と向き合い、「英文学、真のを模倣することはただ
の他人本意」だと気づきます。そうではなく「自己本位」で文学に取り組んでいけばいい、と決
心しました。
こだわりのあることは「がちり」(堅いものに触れ、発する鈍い音)と手ごたえがあるまで、自
分の鶴嘴で掘り続けなさい。
漱石は真の自分探しとは、外側でなく、己の中から見つけるものだと伝えています。
ほんとに自分らしく生きていける最高善を私たちに伝えてくれていると感慨深く読みました。
今時の「ウエルビーイング」と重なるのではと思いました。
<自分のことは、ほんとに分かりづらい。>これを鶴嘴で掘り続けることにより少しずつわかっ
てくる。この作業が人生を最高のものにしてくれると思います。