「黙っていても、顔が声と言葉を持っていることがよくある」・・・オウィディウス(古代ローマの詩人)
<顔に出ていない?>
勝海舟が「青柳」という料理屋に入ったときの話です。店内を見渡すと、女将が掃除をしたり餅を運んだり忙しくして
いたので「この店は景気がよいように見えます」と言いました。すると女将は「とんでもありません。お店にお金は一
文もなく、亭主は金策に出ています。と答え、こう続けました。
「人気の呼吸というものは難しいもので、苦しさをお客様や雇い人に見せてしまいますと、ダメになります」。このと
き、勝は、外交でも何でもこの呼吸にあると悟り、「大変よい学問をさせてもらった」と手持ちの30両を用立てたそ
うです。
苦しい時も、弱音を吐かずに元気に振る舞うこと。それが幸運を呼び込むための秘訣なんでしょうね。
私の尊敬する慶應義塾創始者の福沢諭吉は、<顔色や容貌を、いきいきと明るく見せることは、人間としての基本的なモ
ラルである>と述べています。また、イギリスの作家で医師であるトーマス・ブラウンは、<人の心は顔にあらわれる。
だからABCの読めない人でも、顔を見れば性格を読み取れるのだ>と述べています。
<顔に出ていない?>は、鋭い指摘だと思いました。