<ゆっくり、迷いながら、形作られる世界・・・>
本日、コラム「天声人語」を読んでいて<明日は休んでいいです>と、バイト先で言われ、言われた帰り道に、すごく寂しくなりました。<このままじゃダメだ、なにかしよう>と、思ったと、あるインタビューで語られていたそうです。
<落ち込んだ時に夢みたいなことを考える>と、<気持ちが前向きになる>のだそうです。そうして生まれたデビュー作<こちらあみ子>は高く評価されましたが、今村さんは<もう自分は書くことがない>と口にしました。
それでも候補になること3度目にして芥川賞に選ばれました。彼女の書いたものを読むと、怖い小説であり、妖しい小説であると同時に、明るくて透明な感じがすると当欄のコラムニストは語られています。
デビュー作の主人公あみ子は、風変わりな小学生です。大好きな同級生に付きまとい、クッキーのチョコのところを嘗め尽くしてから食べてもらいます。死産をして気を落とす継母を励まそうと、木の札で「弟の墓」を作り「金魚のお墓」と並べます。「死体は入っとらんけどね」と、言いながら・・・。
寒々とする行為なのに、思いのまま一途に動くあみ子が、いつの間にか愛おしくなってきます。ストーカーのような主人公の受賞作<むらさきのスカートの女>でも変わらぬ味わいがあるようです。
登場人物の会話を書くうちに<この人はこういうことを考えている人なんだなあ>とだんだん分かってくると、対談で述べられていたそうです。<ゆっくり、迷いながら、形作られる世界がある>と、当コラムは結ばれていました。
<自分の潜在意識に埋め込められているものを少しずつ小出しにして外に放出していく><その奥にある真我から光が放出していく>素晴らしい営みだと感銘を受けました。
カウンセリング 神戸市 カウンセリング恵(めぐみ)