<アイヌ文化の火の神様・・・>
本日、「天声人語」を読んでいますと、アイヌ文化の記事があり、興味をそそられました。
北海道のニ風谷(にぶたに)でアイヌ伝統の木彫り工房を営む貝澤(かいざわ)徹さん(61)のお話でした。
少年時代にストーブの前で弟と翌日の釣りの話をしていると、両親に「火の神様の前でしゃべったら、全部魚に
伝わって釣れなくなる」と言われたそうです。
火の神はアイヌの言葉でアぺフチカムイ。貝澤さんは、白老(しらおい)町で開業した国立施設「ウポポイ」の
ために作品を頼まれ、この火の神を選らばれたようです。「アイヌの文化では自然界にたくさんの神がいる。中
でも火の神はものごとを伝えてくれるんです」
木彫りのアぺフチカムイはウポポイの博物館に展示されました。貝澤さんの祖母をモデルにした女性の顔を囲み、
力強い彫り跡の炎が天に伸びているようです。炎の隙間から細やかなアイヌ文様がのぞいているようです。よく
見ると、女性の口のまわりや手の甲には入れ墨の模様があったそうなんです。
明治政府は、女性の入れ墨や男性の耳輪の風習を禁じるなどの同化政策を進めたようです。狩猟や漁労の生業を
否定し、学校でもアイヌ語を話さなかったようです。研究の名で墓所から遺骨が持ち去られたこともあったよう
です。
国際世論に押されて、政府がアイヌの人々を日本の先住民族と認めたのは2008年のことのようです。文化復興
のため国がつくったのがウポポイであったようです。
貝澤さんがアぺフチカムイを掘ったのは、なんと樹齢400年を超すニレの埋もれ木だそうです。明治以来150
年の間に風前の灯にされたアイヌの壮大な文化が、再び豊かな火をともすよう願う。」と当コラムは結ばれていまし
た。
「国家が観光に利用」「先住権はないがしろにされたまま」と抗議する人たちもいるようですが、アイヌの壮大な文
化の究明が進むことを心より祈るばかりです。
カウンセリング 神戸市 カウンセリング恵(めぐみ)