<世間からはじき出された人の中にある美しさ、尊さを描いてこそ映画だと思う>
本日、コラム「天声人語」を読んでいますと、先週84歳で亡くなった降旗(ふるはた)康男監督の記事が載っていました。
いわゆる巨匠然とした映画人ではなく弱く、はかなく、寂しい人間たちに寄せる共感は限りなく深く、ごく普通の人々の胸にしみわたる作品が数多く残されたようです。
発注されてきっぱり断った作品があるようです。企業の創業者を主人公に据えた成功物語。<偉い人、立派な人は撮りたくない。世の中からはじき出された人の中にある美しさ、尊さを描いてこそ映画だと思う>と、映画人生を貫く哲学を述べられています。
軍国主義を全身に浴びて育ちますが、ある日、教師から<この戦争は負ける。少年志願兵に決して手を挙げるな>と告げられ、衝撃を受け増した。投獄覚悟の教えに、社会をみる目が一変したと語られていたようです。<映画人九条の会>の主要メンバーの一人だったそうです。
<昨今の政治家の勇ましい言葉には危機感が募る><日々醸成される空気が怖い>と折々に発言されていたようです。
初恋の女性を救えず悩む居酒屋店主、生き残った身を恥じる特攻隊員、少年時代の罪を引きずる刑事。映画の主人公はそれぞれに屈折を抱えています。
共感を呼ぶ人の心の中にある美しさ・尊さ・・・・・・。素晴らしい作品をありがとうございました。戦争体験者ならではの訴求力を感じました。
カウンセリング 神戸市 カウンセリング恵(めぐみ)