• オープンしたきっかけ
  • コンセプト
  • カウンセリングの流れ
  • 料金について
  • カウンセラーの紹介
  • お客様の声
  • 会社概要

<両手一杯の「ことば」セラピーと心の松明(たいまつ)・羅針盤>52

2019年9月21日

<両手一杯の「ことば」セラピーと心の松明(たいまつ)・羅針盤>52

<学童期、楽しくて教科書を暗誦した兼好法師の世界>

幕府と天皇を頂点とした貴族の争い、そしてまた自然災害や疫病などの絶えなかった鎌倉時代から南北朝時代に生きた兼好法師の書いた「徒然草」。思いつくままに書かれる随筆は、私の心を魅了し、気がつけば教科書を暗誦していました。

兼好法師は1275~1288年の生まれと見られ、亡くなったのは、享年70代後半と推察されます。公家社会の教養を持つ下級技能官だったらしいのです。「徒然草」は鎌倉時代末期までには成立していたらしい。古写本の表題は「つれゝ種」であり、江戸期から「徒然草」と表記されました。

「徒然草」の教養の基礎となっているのは儒書と仏教思想のようです。

兼好法師の死後100年ほどたってから「徒然草」が教養ある人々が読む古典籍と位置づけられ、庶民にも広く読まれるようになったのは江戸時代に入ってからと言われています。

* <吉凶は人によりて日によらず。>

* <万(よろず)のことは頼むべからず。 おろかなる人は、深くものを頼むゆえに、恨み、怒ることあり。>

何ごとにおいても、あまり人やものに頼りすぎてはいけない。おろかな人は、期待しすぎてしまうことで、(その期待通りにならず)恨んだり、怒ったりすることがある」といった意味ですね。穏やかな気持ちでいるためには、自分にも他人にも期待し過ぎないことだ、と説いています。

* <己(おの)が分(ぶん)を知りて、及ばざる時は速やかに止むを、智というべし。  許さざらんは、人の誤りなり。 分を知らずして強いて励むは、己れが誤りなり。>

自分の分を知り、これ以上は無理だと思ったときは、すぐ中止するのが人間の智慧です。過ちを許さないこと、分を超えて励むことは間違いです。あるがままの生き方を良しとした兼好らしい言葉ですが、人は困難に挑戦するなかで成長する生き物です。時には自分を許すことも必要ですが、何でもすぐにあきらめるのが良いとは限りません。要はバランスが大切ですと、説いています。

* <そのものについていて、そのものに損害を与えるものはたくさんある。たとえば、国には必ず盗人がいて、国に損害を与える。君子にとっては、それが仁義である。仁義が君子をだめにするのである。僧侶にとっては、それが仏法である。>

* <智慧から虚偽が生まれるものだ。>

* <何を可とするか、不可とするか、それは相対的なものにすぎず、どちらも同じだ。>

* <天上に昇りつめた龍は悔いる。満月は欠けていく。あらゆる繁栄はやがて衰退する。頂点に達すれば破綻する。>

* <すべてが幻である。すべてが変化する。始めも終わりもない。>

* <金の価値は高い。しかし、実際の用途が多いのは鉄である。>

* (順境と逆境、人はその二つにもてあそばされる。逆境にあるときは、こんな苦しみはいやだとのたうちまわる。もっと楽になりたいと苦しむ。 しかし、その楽とは何か。 ある事柄のみを好み、愛着してやまぬことではないか。その心さえなくなれば、苦しみもなくなる。>

飄々としているように見えて、物事をしっかりと見据える観察眼をもった兼好法師ですね。<心などないのだよ>と仏教僧ならぬ、人間心理の本質を喝破していますね。

カウンセリング 神戸市    カウンセリング恵(めぐみ)