<両手一杯の「ことば」セラピーと心の松明(たいまつ)・羅針盤>62
<人間の弱さも希望も描いたゲーテの世界>
ゲーテは、理性を尊重する文学が盛んだった時代に、個人の内面の感情や個性を主張する文学を生み出し、人々に衝撃を与えました。その後、イタリアに滞在して古代ギリシャ・ローマの芸術にふれ、詩人シラーと交流するなどの経験をしたゲーテは、「強く生き生きとして、快活で、健康」な作品を追究してきました。弱く、あやまちを繰り返す人間が、それでもよりよく生きようと努力することで、成長する姿を描いてきました。(1749~1832)年
* <ひそかに清く自己を保存せよ。 自分の周りは荒れるにまかせよ。>
詩人・劇作家のシラーとの共作である風刺短詩集「温順なクセーニエン」の中の言葉ですね。「自分を清く保て。周りがどんなに荒れていようと惑わされるな」という意味です。「自己保存」という言葉には、生物が自らの命を守り、発展させていくという意味もあります。
* <自分一人で 石を持ちあげる気がなかったら、二人がかりでも 石は持ちあがらない。> 「箴言(しんげん)と省察(せいさつ)」より
スポーツでも行事でも、みんなで一緒にやるときは、自分は全力を出さなくてもいいかな、と思ってしまいがち。でも、みんなが他人任せで手を抜いてしまったら良い結果は出せませんね。たとえ誰かといても、自分がどうすべきか考えて、自分の責任を果たせば、いつか一人でも行動できる実力がつくはずですね。
* <空気と光と友人の愛、これだけ残っていれば気を落とすことはない。> 「ゲーテ詩集」より
* <よし、どうあろうと 人生はよいものだ。> 「ファウスト」より
* <愛によってのみ、人は自然に近づく。>
* <決断と忍耐とは、最も高貴な性質である。>
小説「ウイルヘルム=マイスター」で、人間の成長していく姿を描いたゲーテは、「一つのことを正しく知りかつ実行することは、百通りのことを半ばにやるより、高い教養を与える」と言っています。そのために必要なのは、実行する決断力と放り出さずにやり遂げる忍耐力だと述べています。
* <人間の最大の罪は不機嫌である。>
人間には弱さやあやまちもあるが、それでも明るく希望をもち続けることが大切だと説くゲーテ。不機嫌になるのも、それを表情や態度に出すのもよくない。「格言と反省」という本に、「喜んでことをなし、なされたことを喜ぶ人は、幸福である」という言葉も残しています。
* <その夢をなくして、生きてゆけるかどうかで考えなさい。>
「自分自身をなくしさえせねば、どんな生活を送るもよい。すべてを失ってもいい、自分のあるところのものでいつもあれば」とも詩に記したゲーテは、自ら信じるもの、自らの思いを、貫いて生きることの大切さを説きました。
* <自分自身を信じてみるだけでいい。きっと生きる道が見えてくる。>
力不足でも、失敗しても、あきらめずに努力を続けてみましょうよ。あきらめない自分を信じることができれば、それがいつの日か自信につながっていきます。
* <どれだけ孤独に生きても、結局いつの間にか人の世話になっているものだ。>
詩人、作家としてよく知られるゲーテは、政治家、科学者などとしても活躍した万能の人ですね。様々な仕事に取り組む中で、たくさんの人に出会い、影響を受け、助けられました。何でもできるゲーテだったけれど、一人ではなく、だれかの支えがあったからこそ、大きな仕事を成し遂げることができました。
* <その人の業績に 嫉妬してはいけない。 その人をほめることで、 あなたはその人と 対等になれるのだから。>
友だちが試合に勝ったり、試験に合格したりしたとき、素直に「すごいね!」ってほめられるでしょうか。心のどこかで(きっとまぐれだよ・・・・・・)と思ったりしてしまうでしょうか。人やものごとを正しく評価できるのも立派な能力の一つ。「すごいね!」と言えたら、それもとても「すごい」ことですね。
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