<北窓を塞ぎて今日の午睡かな>
本日、「編集手帳」を読んでいますと、永井荷風の上記の句が目に飛び込んできました。何のことだろうかと持ち前の好奇心を
そそられました。
永井荷風につぎの句があります。<北窓を塞ぎて今日の午睡かな>。初めて見たとき、前半部分の意に首をひねりました。
手元の歳時記によりますと、<北窓塞ぐ>は冬の季語で、寒風に備えて北の窓に板を張ったり、すき間に目張りしたりすること
らしいのです。住宅の気密化の進む現代では死語に近いかもしれませんね。荷風先生の昼寝姿の浮かぶ半分のどかな句なのですが、いま読み返すと不穏な心持ちになります。
かのウイルスは気密性の高い空間を好みます。換気が大切なのに、多くの建物は窓を開閉しない限り外気を通すようにはできて
いません。
予報によれば、来週は真冬並みの寒気が列島に流れ込むらしいのです。寒さはただでさえ体にこたえます。高齢者施設などでは
室温の維持と換気の調整が難しいことでしょうね。職員の方々がこれまで以上に気を張らねばならないかと思うと、毎日の感染
者数がよけい耳につらく聞こえそうですね。
パソコンで原稿を書くと、変換の妙で思わぬ字を目にすることがあります。この稿で「かんき」と入力したとき、寒気でも換気
でもなく、「歓喜」と変換されました。困難な季節を乗り越え、そこに行ければと思いました」。と当コラムは結ばれていまし
た。
ここ最近は病院とか介護施設のクラスターが目立って増えていますね。困難なこの季節を乗り越え、「歓喜」に行ければ嬉しい
ですが・・・。コロナとの共存で現実の課題があぶり出され、時代がよき方向に流れることを祈ります。
カウンセリング 神戸市 カウンセリング恵(めぐみ)