<天よりもかがやくものは蝶の翅(はね)>・・・誓子
本日、「編集手帳」を読んでいますと、「休眠打破」という興味深い話が載っていました。
「近所の桜のつぼみが膨らんでいました。開花はまだ先らしいが、足を止めて眺めていると、
ひらく瞬間を目撃できるのではないかと思うほどでした。
桜の花の芽は、昨年の夏に形成されていったん休眠に入り、冬に一定の寒さを経験すると眠
りから覚めてほころびはじめます。「休眠打破」といいます。
卒業式のシーズンをむかえました。コロナ禍の一斉休校を新入生として経験した中高生が巣
立っていきます。3年前の春、入学式は延期され、部活動は自粛しました。修学旅行をとりや
めた学校もあります。思い描いていた青春とはほど遠かったかもしれません。
そう思って卒業の記事を探していたところ、福井版に生徒の笑顔が並ぶ写真を見かけました。
全員がマスクを外していて、時の移ろいを思います。そういえば、先日はあるご縁で高校生
が書いた作文を読ませていただきました。
<3年前を復元することがゴールではない>という一文が頼もしく思えました。
制約だらけの経験をむしろ糧にして、新しい道を切り開く決意なのでしょう。
<天よりもかがやくものは蝶の翅(はね)>(誓子)。
去年や一昨年とはちがう開放的な春がきているようです。」と、当コラムは結ばれていました。
このコラムを読んで、桜の花の芽の「休眠打破」は、知らず知らず私自身のからだと重ねてい
ました。7月末に掃除をしていて自宅の部屋で転倒し尻もちをつき、2010年に第1腰椎圧迫骨折
をした固定術の第4腰椎を固定している金属のボルトのネジがはずれかかっているとの主治医
の見解から、コロナ禍のためベッド満床で4か月自宅待機を余儀なくされ、12月9日に脊椎内の
金属除去したことと妙に重なり、桜の咲く頃は私にとっても「休眠打破」なんだと妙に納得しま
した。桜の花の開花とともに私の腰も快癒していくのだろうと。・・・
<さくら咲く 休眠打破の からだかな>
私も高校生の<3年前を復元することがゴールではない>の一文に大層元気をもらいました。
<天よりもかがやくものは蝶の翅(はね)>
一人ひとりが蝶になって開放的になり、天よりも輝いてほしいものだと思いました。