<山をほんとうに愛している人は、心のきれいなしっかりした人である>・・・今田重太郎
<登山ブームのかげに、道徳観念の欠如というか、ひどいことをする登山客もかなり出てきた>・・・今田重太郎
本日、「編集手帳」を読んでいますと、今田重太郎の言葉が目に留まりました。
上記の2つの文章です。なかなか今の世情を移しているようで興味深い言葉です。
「北アルプスの穂高岳を主な舞台とした、井上靖の小説「氷壁」にも登場する。
井上が、「穂高を語る人として、右に出る者はあるまい」と評した人物が、かっ
ていた。
北アの名ガイドとして知られ、穂高で最初の山小屋「穂高岳山荘」の基礎を築い
た今田重太郎のことだ。上高地から岳沢、前穂高岳へ至る最短コースとなる「重
太郎新道」を開き、今も登山史に名を残す。
その重太郎が半世紀前、自らの歩みをつづった「穂高に生きる」(ヤマケイ文庫
)の一文に目がとまった。<登山ブームのかげに、道徳観念の欠如というか、ひ
どいことをする登山客もかなり出てきた>
悪い輩(やから)はいつの時代もいるのだろう。近年も、山頂や登山道にごみを
捨てるだけでなく、植物の上に石を置いたり樹木に落書きしたりするなど悪質な
登山者が後を絶たない。
各地から山開きのニュースが届いている。新型コロナの5類移行で、既ににぎわ
っている山もあるようだ。山行中に不快な思いをしたりさせたりしないよう、重
太郎の言葉を胸に刻んでおきたい。
<山をほんとうに愛している人は、心のきれいなしっかりした人である>