<愛さるるために生まれしいのちみな祝されてをりその実存を>
本日コラム「天声人語」を読んでいますと、入所者19人の命を奪ったやまゆり園の惨劇の記事が目に留まりました。<やまゆりの園生(そのふ)の闇に振るはれし刃はわれの心をも刺す>手足が動かせず、病床で歌をつくってきた元教師の歌人、有沢蛍さんの一首です。
あすで事件から3年。元職員の公判は来年1月に始まります。逮捕後、<意思疎通のできない人は幸せをつくれない」と供述。ゆがんだ障害者観が世の中を震撼させました。
園には、正面に献花台が設けられ、花束が手向けられていたようです。犠牲者と同じ数の折り鶴を飾った紙があり、<ともにいきる>という手書きの言葉があったようです。
振り仰ぐと、県境の山々が見え、相模川に注ぐ清流のせせらぎが響いて、畑ではナスやトマトの夏野菜が実り、遠くに観覧車が見えるようです。入所者が親しんだであろう光景に身を置くと、惨劇がここで起こったとは信じがたい。
<愛さるるために生まれしいのちみな祝されてをりその実存を>事件を詠んだ有沢さんの別の歌のようです。誰もが愛されて生を受け、命の価値に差などあろうはずも無い。<人の役に立つことのみが価値なりと育てられたる加害者あはれ>と、当コラムは結ばれていました。
3年前の惨劇が甦ってきて心が痛みます。<加害者はどんな育ち方をしてきたのだろう??>と、惨劇直後も心を掠めましたが、現在もそのように感じてしまいます。私がまだ教員だった頃、スマの児童連続殺傷事件が起き、犯人が中学生だと判ったとき、見ていた新聞に涙が零れました。そのことを記事にしていたのを知人が見つけ共感を寄せてくれました。アレから・・・二桁の殺人事件が後を絶ちません。人間としての遺伝子が消え失せたかのように・・・。
私は、40歳になりたての頃、親しくしていた病院の小児科の医者から<子どもは、存在だけで尊厳がある>意味の言葉を投げかけられ、<ハッ>と、したことがありました。これは、今の私の教育観の原点となっています。
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