<秋風は涼しくなりぬ馬並(な)めていざ野に行かな萩の花見に>
本日、「天声人語」を読んでいますと、ハギの花の特集号でした。私自身も、例年、ハギの花に出会って秋の訪れを感じることが
多かったように思います。
「ヒガンバナのように「私の立ち姿を見て」と訴えかけてもこないし、キンモクセイのように「この香りを楽しんで」と主張する
でもないんです。静かに、秋を告げます。それがハギですね。しかし万葉の昔には、人々の視線を釘付けにする花だったようです。
万葉集で最も多く歌われている植物がハギで、140首を上回ります。<秋風は涼しくなりぬ馬並(な)めていざ野に行かな萩の
花見に>。詠み人知らずの歌にあるのは、連れ立って馬に乗り、ハギを見に行く楽しげな様子です。
花見といえばサクラではなく、ハギかウメでした。万葉人はハギの花見に出かけ、花を摘み、頭に挿したと、植物学者の湯浅浩史
さんが「植物ごよみ」に書いています。<我が背子(せこ)がかざしの萩に置く露をさやかに見よと月は照るらし>。詠み手は女性か。花かんざしが頭にある背子は夫あるいは恋人でしょうか。
近所にハギが群生しているところがあり、万葉の人の気持ちになって眺めてみます。よくよく見ますと外来種のハギかもしれぬと
思いますが、なに構うものでしょうか。紅紫色の花は小さく、可憐です。
秋になり、様々な花に出会うのがうれしいのは、夏に咲く植物が少ないからでしょうね。暑い盛りは草木にとっても過酷なのでしょうか。人の世のこの夏はまたもコロナの過酷さとともにありました。少しは落ち着いた9月、10月を過ごせるでしょうか。
お彼岸に供えるおはぎの名は、小豆の粒がハギの花に似ていることに由来します。そんな説があることも、昔から愛されていたさまを教えてくれます」。と当コラムは結ばれていました。
最終章のおはぎの由来は初めてです。そう云われてみれば、小豆の粒とハギの花が似ていますよね。何とも風流なことと思いまし
た。ハギの花は、着物の柄を彷彿とさせるようで幼少の頃から大好きでした。初秋の風物詩として脳裏に刻まれていました。
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