<紫陽花(あじさい)のその水いろのかなしみの・・・>若山牧水
本日の「編集手帳」を読んでいますと、ヒグラシの記事が出てきました。
ヒグラシのその心に沁みる切ない鳴き声が俳人の情趣を寄せるのでしょうか。
青い花の色を溶かすアジサイの水滴と、ヒグラシの音色が鮮やかに溶け合って
いると当コラムは結ばれていました。この指摘は面白いなあと共感して読破し
ました。
「夏を告げるセミのなかでも、ヒグラシは格別だろう。明け方や日暮れに鈴を
振るような音色でカナカナと鳴く。擬音そのままに「かなかな」とも呼ばれる。
俳句歳時記は「初秋」の季語としているが、昆虫図鑑の説明では急に事情が変
わってくる。<梅雨のさなかの6月下旬から7月にかけて現れ、アブラゼミなど
より早く鳴きはじめる>という。ただし、歳時記の季節感がまちがいというわ
けではない。
ヒグラシはおおむね9月初めまで木々を飛び回るそうである。心に沁みる切な
い鳴き声が俳人の情趣が秋に寄せるのかもしれない。
今日の夏至を迎える前に、梅雨の晴れ間が広がった地域は多い。朝夕の光のな
か、すでに鳴き声を聞いた方もおられるだろう。洗濯物がよく乾いたのもつか
の間、またしばらくは梅雨雲がかかるとの予報が出ている。
若山牧水につぎの一首がある。<紫陽花(あじさい)のその水いろのかなしみ
の滴(したた)るゆふべ蜩(かなかな)のなく>。恋人との別離を涙して悲し
む歌などだそうだが、それはそれとして美しい。青い花の色を溶かすアジサイ
の水滴と、ヒグラシの音色が鮮やかに溶け合っている」。と当コラムは結ばれ
ていました。